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与謝野 馨 「社会保障と税の一体改革」 (5.12日本外国特派員協会講演から) [閑話]

与謝野氏は、社会保障と税の一体改革を掲げて1月に経済相に就任しましたが、3.11東日本大震災でその動きは、実質上棚上げされている印象でしたので、どのような発言をするのか注目が集まりました。折しも政府は、同日、社会保障と税の一体改革に関する集中討議を開き、厚労省案が提示されました。経済相は、6月末の成案を目標に集中論議に入り、成案を得たところで自身の任務は終わることを強調していました。果たして、高所得者の年金給付制限導入による給付抑制策をどうするのか、ゴールである消費税引上げへの工程をどう実現するのか、リーダーシップを欠いたねじれ国会で、本件は混迷を極めていくであろうことは容易に想像されるところです。このような、ねじれ状況を選択した国民の一人であることに思いをいたすとき、複雑な感情が交錯することを禁じ得ませんでした。
経済相は、「自身は72歳となったが、周りの友人をみても元気に働いている。日本人の平均寿命90歳時代を考えると、年金受給開始年齢を65歳より引き上げることが、働く世代の過重な負担を軽くする上で有効」との趣旨の発言をしていました。少子高齢化の進行や経済成長の鈍化で世代間の給付と負担のアンバランスが深刻化する中で、団塊世代(1947~1949)の1948年生まれの私にとって、これは将に当事者問題。圧倒的な数を誇る我ら団塊世代がどう身を処すかは大きな影響力のあるところ。予てから70歳位までは自身で働き社会保険料も収めることが、次世代へのささやかな責任ある行動と考えている私にとって共感するところ大でした。
更に経済相は、東日本大震災に関連して、2011年度の経済成長率は「震災前に比べて1ポイントほどの低下が見込まれる」「復興財源に関しては、増税に7割の人が賛成している。日本の財政に対する信任の維持がこれまで以上に重要」として、財源確保には増税が必要との認識を示していました。確かに財政規律を重んじ信任を取り付けるための財政再建努力を断行せず、問題先送りの繰り返しでは、市場がいつ牙をむいてもおかしくないことに強い危機感を有する者の一人として、これまた、共感するところでした。
日本が抱える問題は、
1)政治がポピュリズムに堕し、財政構造の硬直化、赤字幅拡大、巨大な累積債務(GDPのほぼ200%)という異常な状況を眼前にしながら財政再建の工程表を示すことが出来ないこと
2)我国の人口動態から、生産年齢人口が現象する時代にすでに突入し、日本の社会保障費は毎年急速に増え続け、国民の生存権の根幹を揺らぎかねない状況なのに、この対処への国民的合意生成が図られていないことです。
日本の少子高齢化問題は、遅かれ早かれ、どの先進国にも共通する課題であり、日本国民がどう処していくのか世界が注視しているところです。そんな中、今回の東日本大震災に被災された方々が、極限状況に置かれながらも、互いを思い助け合い、人として徳のすばらしさを示す振る舞いに、世界は心からの敬意と感動をもって賞賛していました。歳を重ねた人々が穏やかに暮らせる、思いやりある社会の実現を望む世界のひとびとが大きな勇気を貰ったからではないでしょうか。
多くのひとびとが語っているように、今まで必死に追い求めてきた物質的豊かさから、こころの豊かさを取り戻すことの大切さを、今回の未曾有の災害は問いかけているように思えてなりません。社会保障改革を断行する上でも、あらためてその重みにこころいたすことが求められていると思います。

社会保障制度改革に関連して、米国の医療制度改革のある取り組みを紹介しました。エビデンスに基づくプロセス管理を徹底し医療の質向上を図り、最も大切な人の命を救うことを実践しながら、大幅な医療費の削減を実現しようとしているお話しです。ご参照ください。Newsletter(Feb 18 2011)
https://www16.jcity.co.jp/TWAS_CMS/Upload/cura/cura_sMainBodyImg_20110317082202.pdf

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