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茶道(1) [茶道]

昭和四十五年、初めて実社会に出た職場で、茶道を始めた。縁あって軽い気持ちで始めたお茶の道だが、あれから、四十年の歳月が流れた。今では、東京は神谷町にある光明寺というお寺さんで、月に二回、職業、世代を超えたお仲間とのお茶のお稽古を共にし、学ぶ機会を楽しんでいる。
 http://www.komyo.net/web/kamiyacho.html 
今日は、八月十五日。終戦記念日。猛暑がぶり返してきた。お茶の世界では、この猛暑・酷暑は、冬への備えに欠かすことのできない大切な時節となっている。炉から、燃え尽きた炭に汚れた炉灰をあげ、樽に移す。水を注ぎ、何度も灰汁抜きをし、水も澄んできたところで、炉灰を炎天下、ござに広げる。そこに番茶や丁子の煮出し汁をかけ、色づけをしては、手で灰を揉みほぐし、天日干しをし、乾いたら、また、煮出し汁をかけ、日長この作業を繰り返す。陽も西にようやくかたぶく頃、灰を篩いにかけ、甕に仕舞い、冬の到来を静かに待つ。
 厳寒の二月、茶室には、蝋燭の灯のもと、夜長、客達が集う。炉には、赤々と炭が熾り、掛けられた釜は松籟の音を奏でる。香を聞きながら、集った客達は、五感を研ぎ澄ませ、これから催される一座建立に静かな期待を寄せる。ホスト役の亭主は、釜を外し、新たに炭をくべ、甕から出した灰を、手際よく灰に撒き添える。その瞬間、客人たちは、あの猛暑の中、この日のために準備を重ねた亭主の思いに心を重ね、懇ろに、「ご丹精を込められた見事な灰ですね」と労いの言葉をかける。その一言には、万感の思いが込められ、それ以上の言葉は不要だ。

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